竹原ピストル - たった二種類の金魚鉢
「いいね!」
と竹原ピストルが叫んでいるのが聞こえてきて、ああ、竹原ピストルもSNSに染まってしまってこんな歌を歌うのか。がっかりやわ。と思ってブラウザのタブを閉じた。その時は。
それがこの曲なんだけど、久々に聴いてみるとけっこういい曲で、ここ数日繰り返し聴いていた。
「いいね」という歌詞はこの部分:
お魚はいいね
水の中でも涙を気付かれずにすむだろうお魚はかなしいね
水の中でも涙に気付いてもらえないだろう
そういえば、「いいね」はSNSのボタンのように綺麗なものではなかった。単純な感情ではなかった。こういう、羨ましさと憐れみにまみれた「いいね」を、俺は何度も口の中で噛み潰してきたんだった。
良いとも悪いとも言い切れないものばかりに囲まれて、どんな「いいね」を人に投げつければ沈黙を破れるんだろう。